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そろそろ落ち着いて考えてみる

 

 


こんにちは。

北原LSC総合診療科の和田吉生(わだよしき)です。

昨日久々に電車に乗る機会がありました。
車内でもマスクをしていない人が増えていますね。
東京では相変わらず連日30人以上の感染が報告されています。
政府のいう新しい生活様式でも、WHOの新しい推奨でも、
公共の場ではマスクを着用するよう言われていますが、
人間というのは「喉元すぎれば熱さを忘れる」生きものなのか、
どうしても、コロナ以前の状態に戻ってしまいがちなようです。

今日の写真は、アメリカの行動経済学者Dan Ariely氏です。
彼は人間の行動を改善することがいかに難しいことか説きます。
明らかにやった方がよいとわかっている行動を説明しても、
それを習慣にまで高められる人は、全体のたった0.1%、
1000人に1人程度しかいないということです。
つまり残りの999人は、やった方がよいと分かってはいるものの、
それを習慣にするところまで行かず、元通りの行動をしてしまう。
今回のコロナ禍で言うと、手洗いやマスクがそうなのでしょう。
今回の騒動は、身に染みて辛い思いをした人々も大勢いるので、
もしかすると習慣化できた人はもっとずっと多いかもしれません。
でも、やってもやらなくても目前の状況に大きな変化がなければ、
人は元通りの行動をとりやすい生きものだということ。
何だか残念ですが、すごく腑に落ちる部分もありますよね。

しかし、いま現在でも確実にウイルスはくすぶっています。
今は「夜の街」なんかが強調されていますが、
小学校や老人ホーム、病院でも集団発生は相変わらずです。
そういえば、一時期ひどく目の敵にされたパチンコ店では、
今のところクラスターが発生したという報道は目にしないですね。

今日私が伝えたいのは、そろそろ小括が必要な時期だということ。
2020年1月から続いてきた国内のコロナ騒動も、半年が経ちました。
当時は相手もよく分からず、どう対処すべきかもよく分からず、
時には安全を優先するあまり、やりすぎていた部分もあったかも。
羮に懲りて膾を吹くのはそろそろやめにしなければいけません。
これまでをきちんと振り返り、これからの対策を考えるべきです。

実は、こういう時にこそ、本当の「専門家」の出番のはずです。
ところがどうでしょう?テレビなんかでは専門家という人たちは、
ほとんど見かけなくなりました。専門家ってブームなんですかね。

何がやるべき対策で、何はそこまで意識しなくてもよいのか。
新型コロナで亡くなった方に、本当に弔いさえしてはいけないのか。
スーパーやコンビニの商品を逐一アルコール消毒する必要があるのか。
校舎や施設の窓拭きにどれほどの感染防止効果があるのか。
現金に触れることは本当にどこまで危険なことなのか。
ドアノブやトイレ便座や浴室の床を介してどれだけ感染が拡がるのか。
そりゃ可能性を挙げたらリスクゼロなんてことは決して言えません。
でも10回に1回起こることなのか、1000回に1回のことなのか、
専門家と称する人たちは、完璧な答えは出せないとしても、
これまでの知見と自分なりの知識から指標を挙げるべきです。

ここからは、完全に私の個人的な考えを書きます。
結果的には間違っている可能性も十分あります。
皆さんも「それ本当かなぁ?」という視点で考えてみて下さい。

基本的にはやはり三密を回避すること、
必要なタイミングで手洗い・手指消毒をすること、
公共の場ではマスクを着用してお話をすること、
この3点が感染をしない・させないために必要なことです。
三密の回避については、あまり異論はないものと思います。
手洗いのタイミングは、不特定多数の人が触る場所に触れる前後です。
例えばスーパーの入口に消毒液のある風景は日常になりましたが、
皆さんはきちんとプシューッと消毒してから入店していますか?
そしてお買い物が終わって帰る時にもちゃんと消毒していますか?
店内にウイルスを持ち込まないことはもちろん、
店内でいろいろなものに触れた手を、
そのまま家に持ち帰らないこともまたとても重要です。

そして、公共の場でのマスク着用がなぜ重要なのか?
これまでクラスターが発生してきた場所を考えると、
ライブハウス、夜のお店、カラオケ、病院、老人ホーム…
これらに共通するのは「密な状態での口呼吸」だと考えています。
ライブハウスは当然、演者もファンも大声を出しますし、
夜のお店はきっと密接した状態で向かい合っておしゃべりします。
カラオケも同じように密な部屋で声を張り上げます。
病院や老人ホームは上記の環境と違いやや特殊ですが、
吸痰などの手技の際に口や鼻からエアロゾルが発生します。

今一度思い出して下さい。新型コロナがどこに病気を引き起こすか。
そう。肺の奥深くに忍び込んでしずかに肺炎を引き起こすんです。
なぜそんなことが可能なのか?接触や飛沫でウイルスが侵入しても、
いきなり肺の奥深くまでウイルスが到達するなんてありえるのか?
これ、実は十分にあり得る話なんです。環境医学の実験では、
粒子径が10~100nm前後の物質は喉や気管でトラップされずに、
直接肺の1番奥の肺胞腔に到達することが分かっています。
新型コロナウイルスの粒子径は100nm程度ですので、まさにです。
でもそのためにはウイルスは飛沫より軽くならないといけません。
飛沫から水分が抜けて、ウイルスがふわふわ空中に浮いている時、
つまり換気の乏しい密閉空間にたくさんのウイルスが放出された時、
その空気を口から大量に吸い込むと、ウイルスは肺胞に到達します。
こういうことが起きるのが、三密空間での口呼吸なわけです。
こんなことはどの「専門家」も声高には言っていません。
でもこのウイルスに感染しやすいのは、きっとそういう場面です。
少なくとも、私はそう思って、そういう環境を避けて生活しています。

どうしても密な状態を回避できないこともあるでしょう。
例えそうでも、小さく鼻呼吸すれば少しはマシかもしれません。
そして、今後は上記のような仮説をきちんと検証すること、
さらにはリスクを細分化して考えていくことが大切だと思います。

例えば、カラオケを例に挙げてみましょう。
ひとりカラオケ。手指消毒だけで何も問題ありません。
複数人でのカラオケ。歌い手がマスクをすればリスクは低減。
例えば、ジム。
ひとりで黙々と筋トレ。おそらくほとんどノーリスク。
みんなでズンバ。これは声を出すでしょうからややリスクかも。
例えば、コンサート。
弦楽器のコンサート。聞き手も黙っていますしリスクは低い。
合唱コンクール。これはみんなで声を張りますのでリスク高そう。
例えば、公共施設。
図書館。本を介した接触には留意すべきですね。
美術館。絵画鑑賞であればほぼリスクはないはず。

これらはもちろん密回避の努力と手洗・マスクが大前提の話です。
でもこのように(これが本当に正しいかどうかは分かりませんが)、
もう少し丁寧に個別の状況に目を向けて考える必要があると思います。
ざっくりと、ライブダメ、ジムリスク、パチンコアウトでは、
なーんにも話は前に進みません。そろそろもう一段深みに行きましょう。

まとまりがない感じになってしまいましたが、
コロナはそこにいるものとして、対策の継続は必要だと思いますし、
一方でむやみやたらに怖がる時期は過ぎ去ったと思うのです。
正しく恐れリスクを知れば、過剰な恐怖は消え正しい判断ができます。
コロナが人々を分断し孤立させているわけではありません。
コロナを恐れるあまり、人間自ら分離し連帯をやめ孤独に走っている。
以前から何度も何度も繰り返し述べていますが、
こういう大変な時にこそ、私たちは連帯し協力して生きないといけない。
経済のためではない。全ては人が人らしく生きるために。


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