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“適切な社会的距離”を考える

 

 


こんにちは。

北原LSC総合診療科の和田吉生(わだよしき)です。

前回、無症状の人も外出時はマスクすべきと書きました。
これに関連して、今回は「社会的距離」を考えてみます。

前回お示ししましたように、濃厚接触の新しい定義には、
「手で触れることのできる距離」という文言がありました。
ただ、これは決して手で触れる距離に近づかなければ安全、
という意味ではないということは、どうぞご承知おき下さい。
右の絵では6feet=約1.8m離れましょう!となっていますが、
これも1.8m離れれば完璧に安全という意味ではありません。

SARS-CoV-2の世界的流行をきっかけに様々な研究が進み、
ウイルスはこれまで考えられていた以上に、
空気中に長く漂っていることもわかってきました。
以前から、くしゃみなどで発生した飛沫は2~3m先まで飛ぶ、
ということは専門家の中ではよく知られておりましたが、
ウイルスを含む「マイクロエアロゾル」は4~5m先まで飛散し、
30分以上(もしかすると3時間以上!)空中を漂っているようです。

例えば、こんな状況を想像してみて下さい。
密閉された空間でウイルスを持っている誰かが仕事をしています。
その人は無症状で、まさか自分が感染しているとは思っていません。
何かの拍子に咳をしたりくしゃみをしてしまったとしても、
まぁ、あまり深刻に考えたりはしないでしょう。
3密を避けるため、独りで仕事をしていたその人が部屋から出た後、
しばらくしてから、別の誰かがその部屋に入ってきました。
その人は、その部屋を誰かが使っていたことさえ知りません。
何も知らずにその部屋でやるべき仕事にとりかかりますが、
実はその部屋の空気を吸い込むと、感染する可能性があるわけです。
ウイルスは大変しぶとく、いつも我々に侵入しようと試みてきます。
ただしきちんと換気をすると、空気中に漂っているエアロゾルは、
速やかに除去されることも分かっています。
やはり、こまめな換気、とても大切です!

また最近、スリップ・ストリームという概念が脚光を浴びています。
これは以前から、自転車や自動車レースなどで知られていましたが、
実は今回の感染拡大にも深く関わっている可能性が出てきました。
スリップ・ストリームとは、高速で移動する物体の、
後方に発生する空気の渦や流れのことを指します。
実は、人間が歩くだけでもわずかなスリップ・ストリームが発生し、
その後ろに空気の流れが生じます。この空気の流れに乗じて、
歩きながら吐いた息が、4~5mほど後方まで到達することが、
ベルギーとオランダで行われた共同研究により明らかになりました。
これがジョギングやランニングだと10m程度後方まで、
サイクリングだとなんと20m程度後方まで、空気が到達するようです。
イメージしやすいのはタバコの煙や臭いでしょうかね。
歩きタバコしている人の煙って、案外遠くまで臭いますよね。
まさにあれです。あの臭いの中にウイルスが充満しているとしたら…
結構、怖くないですか?大変だなこれは…って思いますよね。

前回、外出する時はマスクをしましょうと書きましたが、
外を散歩したり外で運動する時は、皆さんマスクしてますか?
運動の時は苦しいからと、マスク外す人が多いのではないでしょうか。
あるいは、前を歩いている人、自転車ですれ違った人が、
マスクをしているかどうかまで気にしたことがありますか?
ただただ3密を避けるだけでは、適切な社会的距離を取っているとは、
言い切れないのかもしれない…ということが分かってきています。

3密ではないから大丈夫、屋外だから大丈夫…本当でしょうか?
私たちは、いまいちど毎日の自分の行動を省みる必要がありそうです。


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