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持病のない若者なら本当に大丈夫?

 

 


こんばんは。

北原LSC総合診療科の和田吉生(わだよしき)です。

5月13日のことですが、三段目力士の勝武士が、
新型コロナウイルス感染症により亡くなったという
大変痛ましいニュースが飛び込んできました。まだ28歳。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
持病に糖尿病があったとニュースで知りましたが、
力士の方々は、日頃から厳しいカラダ作りを強いられますので、
糖尿病や高血圧などの持病がある人も多いようですね。

一方で、緊急事態宣言が解除された県では、
少しずつですが経済活動が再開されつつあります。
首都圏や大阪、京都、兵庫の関西圏として北海道は、
依然として緊急事態宣言が発出されていますが、
それでも少しずつ外出している人が増えているようで、
政府やマスコミは「気の緩み」と表現していますが…。
私が通勤していて気になるのは、特に若者やサラリーマンの方で、
マスクをしていなかったりマスクしていても鼻が出ていたり…
そういう意味で確かに気が緩んでいる人もいるのかなと。

これまでの研究・調査結果から再三言われていることですが、
今回の新型コロナウイルスは、持病のある高齢者に牙を向きます。
米国では高リスク層を以下のようにまとめて注意喚起しています。

people-who-are-at-higher-risk
people-who-are-at-higher-risk-otherpopulations-300x72-1

英語表記で申し訳ないですが、日本でも言われているように、
・高齢者
・病気やクスリで免疫不全状態にある方
・呼吸器や肝臓など内臓に持病をもっている方
・妊婦さん
こういった方々は、よくよく注意しないといけません。
では、これらのグループに入らない人々は大丈夫なのでしょうか?

確かに、上記のグループの人々と比較するとリスクは低いですが、
私は健康な若者であっても、十分注意しないといけないと思います。
そう思っていたら、ナショジオに素晴らしい記事を見つけました。

『新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相』
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/19/050800015/051100004/?P=1

中澤港先生にインタビューした5月14日付の記事。文は川端裕人氏。
中国の研究で、持病のない人の致死率は0.9%という報告があります。
記事の中でも述べられていますが、年齢別の致死率は以下の通りです。

covid-19-mortality-by-ages

この数値をどう読み解くか、人によって解釈は異なるでしょう。
また、日本では感染者の全容が把握し切れていない状況ですから、
全体の感染者が把握できて母数が大きくなれば、
致死率はもっとずっと低くなることが予想されます。
それでも現時点での致死率は結構ヤバい、というのが私の感想です。

例えば10歳台の致死率は0.2%と見積もられています。
これはつまり、10歳台が1000人感染したら、2人亡くなるということです。
誰もがかかってしまう可能性のあるかぜのウイルスによる病気で、
健康な若者が1000人のうち2人亡くなるって、これかなり大変なことです。
先にも書いたように持病のない人でも0.9%の致死率という報告があります。
例えそれまで健康でも、およそ100人に1人は命を奪われる計算です。
感覚的には、かなり身近に感じられる出来事と言えるはずです。
交通事故でなくなってしまう人よりずっとずっと多いわけですから。

若くて健康な人は大丈夫とか、大したことない病気とか、
そうやって思いたくなる気持ちも十分よく分かります。
そもそも〇%がぁ~とか言われても、なかなか実感は湧かないですよね。
でも、決して油断してよい病気ではないことは意識しておいて下さい。
自粛が解除されて、日々の営みを取り戻す過程に入っても、
いつも手洗いとマスクを。できる感染対策は粛々とするべきです。


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