ホーム > ブログ > 小児科医・仁科のコラム > 肛門周囲膿瘍、肛門のまわりの「おでき」の話

肛門周囲膿瘍、肛門のまわりの「おでき」の話

 

 


肛門のまわりに「おでき」ができる、片側が赤くてテカテカ光った感じに腫れる、これが肛門周囲膿瘍です。再発を繰り返して小さな穴ができた場合には乳児痔ろうと呼ばれることもあります。比較的多い病気で、主に男の子がかかります。女の子に多い肛門の前の方の嘴型の突起は別のもので、これについては別の機会に述べます。

まず心配な病気の成り行きですが

上手に付き合うと、おむつがとれる頃には完治することが多い病気です。乳児痔ろうとなっても同じです。痔ろう部分が残って手術が必要となることもありますが、この病気にかかったお子さまの1/100以下でとても少ないのです。

治療の基本は膿を貯めず、うんちの状態を良くし、清潔を保つことです

治療法は病医院ごとに微妙に異なりますが、基本は同じです。当クリニックでは圧迫治療をお勧めしています。家庭で手軽にできて、通院頻度を少なくできるからです。

膿を貯めないための圧迫療法

腫れた部分をお尻の両側の骨に向かって押すと、肛門の中から膿が出てきます。また、腫れの中心が白くなっている時には、それをつまむと中から膿が出てきます。両方を駆使して膿を全部しぼり出してしまうのが最初の治療です。膿が出せない場合には、メスや針で小さく切開して膿の出口を作る場合もあります。出口は自然にふさがり易いので、圧迫を繰り返して維持します。出口維持のためにガーゼや管を通しておく方法は、乳児に向かないことはご想像いただけると思います。あとは家で、おむつ替えの度に「つまんで押して」を繰り返していると徐々に治ってきます。受診はこれがうまく進んでいるかチェックするのが目的ですから、2日後、1週間後、3週間後、と受診ごとに間が長くなっていきます。手当てが良くても再発が多い病気ですが、家で圧迫療法を続けていると新しく出来たことにも気づきやすく、早めに治療が始められるという利点もあります。

うんちの状態を良くする

下痢気味のお子さまに多いので、母乳児がかかり易いのは確かですが、だからといって母乳をやめる必要はありません。乳糖不耐症の場合には特別なお薬を使用しますが、多くの場合は乳酸菌製剤などで便中の細菌の成分を整えてあげれば十分と考えています。十全大補湯という漢方薬が有効と言われますが、体の塩分に影響する可能性がある薬で、子供の副作用に関する情報が少ないので、現在のところ当クリニックでは使用していません。

手軽に洗浄して、おしりの清潔を保つ

膿に含まれている細菌を肛門の周りから洗い流して減らすことも大切です。一々お風呂に入れて洗うのは大変ですから、新しいおむつに替える前にぬるま湯で洗い流すのがベストです。最近は薬局でもお尻洗い用の容器が売られていますが、お台所洗剤の空き容器でも十分使えます。手軽で続けられることが一番大切なことです。

抗生物質は使用しなくて良い?

膿が貯まり始める前の早い段階では有効なこともありますが、既に膿が貯まっている状態の場合は抗生物質は効きません。むしろ下痢が悪化して悪影響もあるので、通常は使用しません。


ブログアーカイブ

Blog

ご予約・お問い合わせ

電話

042-655-6665

(電話窓口受付時間: 8:30〜16:30)

診察・受付時間

午前 8:30〜12:30 午後 13:30〜16:30
※水曜のみ18:30まで

医療みらい再生機構
Sunrise Japan Hospital
Join
総合診療科医募集