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長期戦かつ消耗戦

 

 


こんにちは。

北原LSC総合診療科の和田吉生(わだよしき)です。

長い戦いになります。まだ終着点は見えていません。
新型コロナウイルス感染症に対する、私の個人的な感想です。

日本では、北海道独自の緊急事態宣言が解除されたり、
東京の遊園地が部分的にではありますが営業を再開したり、
大規模な格闘技イベントが予定通り実施されてしまったり、
なんだか少しずつ「コロナ明け」いや「コロナ慣れ」
ともいうべき状況が生まれていますが、事態は依然深刻です。

緩んでしまう気持ちも分からないわけではありません。
中国・武漢では新規感染者ゼロという報告が続いており、
感染制御に一定の目途が立ったかのような印象を受けます。
そうでなくても、毎日毎日、この状態がいつまで続くの?
という何ともやりきれないモヤモヤした気持ちを持ちながら、
それでも何とか毎日耐えて生活している人々は大勢います。
さらに経済活動が停滞したこの現状が長引くほど、
仕事を失い本当に生活が立ちゆかなくなる人々が大勢出ます。
早く平常状態に戻りたいという気持ち、痛いほど分かります。

who-nc-situation

上の図はWHOのWebサイトから引用したものです。
本日時点で、世界では334,981例の感染確定者がおり、
14,652人の方々が、新型コロナウイルスで亡くなっています。
世界の189の国と地域で感染者が確認されており、
まさにPandemic:世界的大流行は続いています。
そして何より、ここ数日、感染者が指数関数的に増加しています。
特に欧州からの報告が目立ちますが、これは驚異的な増加です。
世界的には感染が制御されているというにはほど遠く、
欧州をはじめまだまだ感染のピークさえ見えてきません。

中国の状況は、ある意味で一筋の希望ではありますが、
少なくとも世界的には爆発的な感染拡大はしばらく続きそうです。
長ければ数か月はこの状態に耐えないと行けなくなりそうです。
さらに、国内の感染状況が仮に落ち着きを見せてきたとしても、
今後しばらくは、ウイルスの逆輸入に注意しなければなりません。

日本では、東京オリンピックの予定通りの開催への期待も込めて、
数か月で感染が終息するだろうという見方が大勢でしたが、
ここに来てその旗色はかなり悪いと言わざるを得ない状況です。
下手をするとこのウイルスとの戦いは年単位に及ぶ可能性があります。
フランスやイタリアでは、現段階ですでに、一斉休校の期間を
6月、あるいは8月まで延期することも検討されているようです。
外出禁止令も4月いっぱいまで続く可能性が見込まれています。
世界、特に欧米ではそのくらい深刻な状況の真っ只中です。

日本でも先日、オーバーシュートの懸念が発表されました。
ここで言うオーバーシュートは、感染者の爆発的増加を指します。
一見制御できているように見えますが、水面下で事は進行しており、
ここで緩んでしまって、感染者・保菌者が市中にどっと出回ると、
感染が爆発的に起きる危険性をいつでも孕んでいる状態と言えます。

まだまだ気を緩めることは許されない状況ということになりますが、
一方で、じゃあいつまでこのまま耐えればいいのか…生活が…
とという方々の堪忍袋の緒が切れてしまっても困るわけです。
どこで経済とのバランスを取るのか、どのレベルで生活を守っていくのか、
オリンピックも延期ムードが蔓延している今日この頃、
先を照らす明るい話題は、なかなか出てきませんね。

世の中が消耗している時にこそ、私たち医療者にできることがあるはず。
そう思って、日々できることを続けています。
せめて病院だけでも、安心して受診して頂けますように。
皆様のやりどころのない不安を少しでも軽く出来ますように。


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