赤ちゃんはよく吐くものです。「げっぷ」の時におっぱいやミルクを少し吐いたり、時々口の端からタラッと流れ出したり。この程度なら普通のことですが、飲む度に吐くとなると心配になるものです。多くは「げっぷ」が不十分だったり、哺乳ビンからの飲み方が下手で空気を沢山飲み込むための嘔吐で(呑気症と言われます)、「げっぷ」を上手にさせたり乳首の材質や穴の大きさを調節すると良くなったりします。呑気症が赤ちゃん特有の胃の構造の影響もあって悪循環に陥ったのが胃軸捻症と考えられますが、定説はありません。
乳児期の胃軸捻は病気というより状態
主な症状は、いつも「おなか」が張っている、おっぱいの度に噴水のように吐く、ガスの回数が多い、いつもウーンウーンとうなっている、何度も便が出るけれど少し付着する程度のことが多い、などです。体重の増加には問題なく、「おなか」全体が張っているのが特徴です。これだけの症状があるのに、原因は「とっくり型」の赤ちゃんの胃が倒れたり、少し捩れているだけのことなのです。胃のまわりの組織がしっかりして来るお誕生日頃には、自然に治っていくのが普通です。3〜4歳以降のお子さまにも胃軸捻症はありますが、症状や原因が少し違う上、手術が必要な可能性があるので、ここでは触れないことにします。
うつ伏せ寝が危険なので・・・
乳児期の胃の軸捻はうつ伏せ寝にするだけで治ることが多いのですが、赤ちゃんのうつ伏せ寝では突然死の発生率が高いことが分かっているため、なかなか踏み出せません。代わりに積極的にガスを排出させて腸に押し上げられて捩れている胃を正常位置に戻そうということで、1日2〜3回浣腸を行う治療が行われています。胃が大きくなってしまう前に治療を始めると、9か月頃から手を抜き始めてお誕生日頃には治療がいらなくなることが多いので、早めの受診をお勧めします。
治療しないとだめ?
症状が軽い場合には、「げっぷ」をさせた直後に、右を下にするように寝かせておくだけでも改善することがあります。ただし、意図せずにうつ伏せに倒れてしまうことがあるので(準備をして行ううつ伏せ寝より危険です)、目を離さないことが重要です。症状が重くても時期がくれば自然に治るお子さまの方が多いと思われますが、中には将来手術が必要な胃軸捻症になっていく場合や、非常に稀ではありますが胃が破裂して命にかかわる場合もあるので、一度は受診して状況を確認しておくことをお勧めします。