こんにちは。
北原LSC総合診療科の和田吉生(わだよしき)です。
最近は、ずっとCOVID-19の話ばかりですみません。
今日は趣向を変えて、言葉の説明をしてみます。
WHOは、COVID-19拡大に対して、これまでのところ、
パンデミックに至る可能性について言及してはいるものの、
いまだにエピデミックの状況に留まっていると判断しています。
エピデミック?パンデミック?どう違うの?
実は、この辺りの用語の使い分けに関しては、
医療者の方でも混同・誤用してしまっている方々が多いです。
【エンデミック、エピデミック、パンデミックの違い】
エンデミックは、最も局所的な感染症の「地域流行」です。
アフリカでエボラ出血熱が流行していたり、
日本での麻疹や風疹も、地域流行と言えます。
エピデミックは、もう少し広範囲での予想を超えた「流行」です。
地域や国をまたいで広がることもしばしばあります。
2003年のSARS、2016年のジカ熱もここに該当します。
今のところWHOは、COVID-19もエピデミックとの判断です。
パンデミックとは、すなわち「世界的大流行」を指します。
2009年のH1N1型インフルエンザはパンデミックでした。
歴史を遡れば、「スペインかぜ」もパンデミックと言えます。
アメリカの軍事基地で発生した鳥インフルエンザが、
第一次世界大戦に便乗して世界中に拡散しました。
一説によると、世界中で1億人が亡くなったと言われています。
日本でも45万人が亡くなったと見積もられています。
交通網が非常に発達した現代では、今回のCOVID-19のように、
あらゆる新興感染症がパンデミックの可能性を秘めています。
ちなみに、アウトブレイクという言葉もよく耳にすると思います。
最近の日本では、あるコンサート会場から麻疹が爆発的な広まった時、
アウトブレイクという言葉がメディアで何度も使われました。
アウトブレイクは、本来はエピデミックとほぼ同義ですが、
どちらかというと「爆発的な集団発生」を指すことが多いです。
感染症に対するこれら用語の使い分けは、厳密なものではなく、
WHOなどの世界的機関が、状況を見ながら判断しています。
COVID-19については、すでに世界の全体陸に波及しており、
実際はパンデミックとして差し支えない状況では?とも思いますが、
まぁ、そんなことは些末な問題ですね。
それより最近気になるのは、国により致死率に差が出ていることです。
例えば、イタリアや、特にイランでは致死率が高いように見えます。
そもそも正確な感染者数が把握できていない可能性が高いですが、
人種によってウイルスの毒性(感受性)が異なる可能性や
ウイルス自体が変異して、毒性が高まっている可能性も否定できません。
今後はこういった視点での観察も必要になってくると思っています。