こんにちは。
北原LSC総合診療科の和田吉生(わだよしき)です。
今日はまた少し話題を変えて、かぜに漢方薬、というお話です。
中国からの情報で、新型コロナウイルス(COVID-19)に対して、
漢方薬が有効だったという記事がAFPに掲載されておりました。
記事によると、COVID-19患者74,187人に漢方薬を使用し、
全体の90%以上の患者で、漢方薬が有効だったとのことです。
まぁ、漢方薬を使うか否かに関係なく多くは軽症で治癒しますので、
この90%という数値をいきなり鵜呑みにはできないものの、
症状緩和や重症化抑制に一定の効果があることは確かなようです。
さて、『かぜに漢方薬』は、私自身も好んで使うオプションです。
そもそも、皆さんは「かぜ薬」というものがあると信じていますよね?
実は、かぜそのものを治してくれる治療薬、というのはありません。
「バカな。薬局でもたくさん売っているぞ」と思うかもしれませんが、
薬局のお薬も、我々医師が処方する薬も、基本的には対症療法です。
熱には解熱薬、鼻水には抗ヒスタミン薬、痰には去痰薬、咳には鎮咳薬、
といった感じで、それぞれの症状を緩和する薬があるだけです。
かぜは健康な人であれば、自分の免疫力で自然に治りますので、
かぜ薬が治してくれるわけではなく、自分の力で治しているわけです。
そこに来て漢方薬は、その自然治癒力を高めることが分かってきました。
例えば有名なのは葛根湯。かぜの初期に内服すると効果的とされ、
首から上の症状(咽頭炎には効きづらい)に効果的とされます。
かぜだけでなく、肩こりや首こりに使うと症状が和らぎます。
漢方薬は、医師の中でも積極的に使用する人とそうでない人がおり、
様々な意見があるところではありますが、最近はエビデンスも蓄積され、
漢方薬の有効性が改めて脚光を浴びる機会も増えています。
今回の記事にある漢方薬は、日本で簡単に手に入るものではなく、
中国独自の生薬の配合となっており、私自身も処方はできません。
ただCOVID-19に特有の発熱、咳、倦怠感に対しては、
柴胡桂枝湯、桂麻各半湯、麻杏甘石湯あたりが使えるかもしれません。
日本でも重症者が急増し、医療機関がパンクしてしまえば、
助けられる可能性のある命も、助からなくなってしまう事態になります。
何よりも、感染しない・させないことが最も重要ではありますが、
万が一熱や咳、倦怠感などの症状が出てきてしまった場合は、
漢方薬を併用してみるのも考慮すべき大切な治療法と言えそうです。
少なくとも私は、もし症状が出てしまったら漢方薬を飲もうと思います。
(今のところ、すこぶる元気ですのでご心配なく…笑)