こんにちは。
北原LSC総合診療科の和田吉生(わだよしき)です。
前回、ちょうど忘己利他の話を書いたところでしたが、
NHKのEテレでこんな特集が組まれていました。
緊急対談パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~
私は再放送を見ました。
世界のオピニオンリーダーの考えに触れられるだけでも、
私にとっては相当ワクワク、刺激的な特集なのですが、
特にフランスのジャック・アタリ氏の考えに共感しました。
部分的ですが、今後、再放送もあるみたいですよ。
(ユヴァル・ノア・ハラリ氏がメインのようですが)
アタリ氏が挙げていたポイントで心に刺さったのは次の2点。
1.今こそ「他者のために生きる」人間の本質に立ち返る時
2.利他主義は最良の合理的利己主義
「忘己利他」と基本的なコンセプトは一緒だと思います。
パンデミックという世界的苦境に直面している今こそ、
孤立せずに、国際的に強く連帯・協力する必要があります。
自分さえよければと、物を買い占め、高値で売りさばき、
〇〇して欲しい!××するな!と自己の欲求を追い求める、
その利己主義の先にあるのは、完全な孤立と破滅です。
アタリ氏は、こう言っていますー
利己主義、経済的な孤立におちいってはならない。
パンデミックという深刻な危機に直面している今こそ、
他者のために生きるという人間の本質に立ち返らねばならない。
協力は競争よりも価値があり、人類は1つであると理解すべき。
利他主義という理想への転換こそが、人類サバイバルの鍵。
利他主義は、最良の合理的利己主義に他ならない。
自分が感染の脅威にさらされないためには、
他人の感染を確実に防ぐ必要がある。
他国で感染が蔓延していないことは、自国の利益になる。
長期的には、海外市場の繁栄は国益に繋がる。
利他的であることは、最終的には自分の利益となる。
今後、世界では間違いなく未曾有の食糧難が訪れます。
今回の新型コロナウイルス感染症によるだけでなく、
東アフリカから拡大したバッタによる農作物被害も深刻です。
各国が自国ファーストで農作物の輸出制限を開始しており、
日本では特に、小麦、肉、果物などが高騰するでしょう。
そのうち、本当に手に入らない状況に陥るかもしれません。
各国が自国ファーストに走るのではなく、足りない部分を
補い合い、互いに協調して社会を変えていく必要があります。
アタリ氏はこうも言いますー
Think positive !
現状を的確に捉え前向きに活かす、ある意味でチャンスです。
利他的な社会、他人に対してポジティブな社会。
共感、思いやり、支え合いの精神とシステム。
このコロナ禍の中で、他者のために生きることができるか。
目に見えない人々に想いを巡らし、手を差し伸べられるか。
つぎの世代のために、今私たちにできる行動を起こせるか。
今こそ、人間がこれまで培ってきた叡智が試されています。